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対策

Q1.親族の範囲とはどこまでのことを言うのですか?
民法によると親族の範囲とは
1 6親等内の血族
2 配偶者
3 3親等内の姻族
のことを言います(民法725条)
では、上記の「血族」、「配偶者」及び「姻族」とはなんでしょう。こちらを説明していきます。

◎血族とは
実際に血のつながりのある者のことを「自然血族」と言い、養子縁組などにより血族の関係があるとみなされる「法定血族」があります。

◎配偶者とは
法律上の婚姻関係がある相手方(夫からみた妻、妻からみた夫)を意味します。ちなみに配偶者は親族の中でも特殊な地位にあり、血族でも、姻族でもなく、親等もありません。

◎姻族とは
自己の配偶者の血族または自己の血族の配偶者を姻族といいます。
たとえば、妻からみた夫の父母(自己の配偶者の血族)や、自己の兄弟姉妹の結婚相手(自己の血族の配偶者)などが当たります。

では、親等の計算方法も見ていきましょう。

民法726条
1 親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める。
2 傍系親族の親等を定めるには、その1人またはその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の1人に下るまでの世代数による。

上記のように定められているわけですが、分かりにくい部分もありますから説明します。

※「傍系」とは自分から見て横の系統。たとえば、親や子は上の系統なので「直系」です。ですが、兄弟などの直系の親から分かれるものなので横のつながりといえます。

★まずは、自分の肉親である親は、上に一つさかのぼり「第1親等」に当たります。

そして、祖父母はさらにその上の系統なので単純に上にさかのぼり「第2親等」に当たります。そこで自分の兄弟などはどうなるか?という事なのですが、一度親にさかのぼり、そして兄弟のもとに行きつくのです。こういったことから、2回の段階を踏んでいることがわかると思います。そのために、兄弟は「第2順位」である事がわかります。

そして、兄弟の子供(自分から見て姪や甥)はどうなるか?
兄弟からさらに下に降りるだけなので、「第3親等」といいます。

ちなみに、姻族である配偶者の親や兄弟はどうなるか?

この場合、配偶者の方に1回横に行きますが、そこはカウントしません。
それなので、配偶者の親が「第1親等」、さらには配偶者の兄弟は「第2親等」となります。

姻族は3親等までなので、この場合は配偶者の兄弟の子供(配偶者から見て姪や甥)までが、本人から見て親族に当たります。

ただ、文面だけでは分かりにくいと思いますから、自分で紙に書いたりして確認すると理解が深まると思います。
Q2.再婚相手の連れ子の相続について教えて下さい。
質問
再婚相手には連れ子がいます。私には前妻との間に子供がいますが、最近は全然連絡も取ってなく音信不通状態となっております。どちらかというと、現在一緒に住んでいる連れ子に財産を渡したいと思っております。
そうした場合には、もしも、私が亡くなったときには、再婚相手の連れ子には相続する権利はありますか?


→残念ながら連れ子である息子さんには相続権はありません。

今回のような再婚相手の子供の相続権は法律上認められていません。

基本的には相続人になれるのは、配偶者、子供、両親、兄弟など一定の親族に限られています。

連れ子とあなたとの間に相続権があるかどうかは、あなたと連れ子との間に法律上の親子関係があるかどうかで判断します。

このような場合においては、もし連れ子に財産を与えたいと思うのであれば、連れ子とあなたと養子縁組を結ぶか、遺言で財産を分け与えるかどちらかになります。

ワンポイントアドバイス!

●養子縁組とは
養子縁組とは、実際の親子関係はないものの、人為的に法律で親子の関係を発生させることをいいます。

→養子縁組の条件
・成年に達した者は、養子とすることができる(民法792条)
・養親となる者は、自分より年長者又は尊属者(親族関係にあり、自分より上に位置する者)例 祖父母や父母の兄弟など
Q3.孫やひ孫が相続することはありますか?
質問
先日に母方の祖母が亡くなったのですが、知人から孫やひ孫が相続人になる事もあると聞いたのですが本当ですか?



→結論から言うとあります。それを代襲相続または再代襲相続と言います。

先ずは相続人の順位は配偶者とその子供(あなたのお母様)です。

そして、あなたのお母様が万が一おばあ様より先に亡くなっている場合はあなたが相続します。これを代襲相続と言います。また、さらにあなたも亡くなっていてあなたに子供がいた場合は、その子供も相続する権利があります。

これを再代襲相続と言います。ちなみに、さらにそのまた子供あなたから見て孫にあたる者も再々代襲相続できます。あまり事例としてはありませんが。
Q4.兄弟の子供は代襲相続できるの?


兄弟の子供も代襲相続できます。

→兄弟の一人が死亡して、子供もいなくて両親も死亡しているとなれば兄弟にまで相続権が移ります。

さらに、その兄弟も先に死亡しているとなればその兄弟の子供が相続権を手にします。

しかし、兄弟の子供の子供には(兄弟の孫にあたる)相続権がありせん。いわいる再代襲相続はしません。

ここまで来ると、もともと亡くなっていた方にとっては縁が薄いので相続をさせないと法律上規定したのかもしれませんね。
Q5.前の夫の死亡後、再婚をした私には前夫の相続権はありますか?
質問
前夫死亡後に数年たって再婚をいたしました。
しかし、前夫の遺産分割協議を経ないで再婚をしたために、前夫の相続をしていません。
この場合、再婚をしてしまった私に前夫の相続権はありますか?


相続権はあります。

前夫が亡くなった当時にはまだ結婚をしていて、いまだ遺産分割協議を行っていない場合は財産は共有(みんなが財産の権利がある状態)状態となります。

前夫の死亡時には、すでに前の前夫を相続分に応じ相続していますので、それによって再婚したとしてもその相続権がなくなるわけではなく、共有状態も解消されるわけではありません。

そういう事なので、早いうちに前夫の相続人と遺産分割協議をして、財産の共有状態を解消する必要があります。

遺産分割協議書の作成も受けたまわっておりますので、お気軽にどんなことでもご相談ください。
Q6.本人の家族と配偶者の家族同士は法律上の親族にあたりますか?
答 親族関係は発生ません。

婚姻を媒介として夫婦の一方と他方の血族(夫から見て妻の親や兄弟又は妻から見て夫の親や兄弟)との間に姻族関係が発生するだけであり、一方の血族と他方の血族関係との間に親族関係は発生ません。


これは、結婚自体は当事者間(夫及び妻)のみの問題であるから、当事者間の両親などの間では親族関係は発生させないっていう趣旨だと思います。

例えば、夫の母親をその配偶者である妻が面倒を見るといったことがありますが、夫の母親をその妻の親が面倒を見るというのはあまり聞いたことがありませんね。

そういったことから、親族関係は発生しません。
Q7.相続の時に被相続人に尽くしたときなどは、「寄与分」というものがあると聞きましたが、これは何ですか?


⚪寄与分とは
1 被相続人の営む事業に関して労務を提供した場合
2 被相続人の営む事業に関して財産を提供した場合
3 生前に被相続人の病気療養に務めた場合
4 その他、被相続人の生活費を支出したり、被相続人の財産を管理したなど、財産を維持した場合
こういった場合は、他の相続人より多く遺産をもらう事ができます。
但し、遺産分割協議の性質上あくまでも話し合いなので、必ず多くなるとは限りません。

※民法では、家族で助け合う事を前提に『扶養義務』があります。例えば、親が子を扶養するのって当たり前ですよね。また、歳を老いた親を子が面倒をみたりするのは、法律上規定があるからするのではなく、当たり前にする訳ですね。
それなので、こういった当たり前の事にていては寄与分は認められにくいのですね。

ただ、認められるケースとして考えられるのが、親の介護等で特別の功労をした場合ですね。
では、『特別』とはどういった事か?これに関しては明確な定めはありません。

ですが、『親の介護をするために、会社を辞めて自分の財産を犠牲にして、数年に渡り介護をした』
こういった程度ではないでしょうか。あくまでもこれは、個人的な見解なのでこれでも認められるかは分かりません。
Q8.生前に被相続人から援助などを受けた場合は、「特別受益」と言う制度があると聞きましたが教えて下さい。


『特別受益』とは
1 被相続人の生前に婚姻のために金銭や利益を受けている
2 被相続人の生前に養子縁組のために金銭や利益を受けている
3 被相続人の生前に生計の資本のために金銭や利益を受けている
4 その他、被相続人から生前に扶養の範囲を超えるような利益を受けていた

上記の場合などが特別受益に当てはまる可能性があります。

つまり、被相続人から遺贈や生前贈与を受けていた相続人がいる場合は、寄与分とは逆に相続財産からその受けた利益が考慮され、減額、若しくは受けた利益の額が法定相続分を超える場合は、相続開始後にその相続人が受けられる財産が存在しない場合があります。


もし、存在財産が存在しない場合は、『相続分が無い事の証明書』というものを発行します。

これは、その相続人が相続が無い事を文書として担保するもので、こちらを相続手続きで添付する事で、他の相続人のみの登記をしたりする事ができるようになります。

ただ、こちらの書面を作成する事で相続として得られる財産の無い事の証明にはなりますが、『相続放棄』の書類の代わりになる訳ではありませんので注意が必要です。

手続き

Q1.相続手続きの流れを教えてください。
相続手続きのポイントは相続手続きでご説明しましたが、ここでは簡単な流れを見ていきましょう。

○相続人の確定

↓ 戸籍等で出生から死亡までを遡ります。

○遺産の確定

↓ 固定資産納税通知書や預貯金の残高照会などで財産を確定させます。

○遺産の評価

↓ 財産を確定させたら、財産の評価を致します。

○遺産分割協議

↓ 財産評価が終わったら、それをもとに分割協議を致します。

○必要であれば相続税の申告(被相続人の死亡を知った時からから10か月以内)

↓ 財産の総額が、相続税の基礎控除を超える場合は申告します。

○不動産などの相続手続き

↓ 被相続人名義の不動産を、相続人名義にします。

○各種銀行等の手続き(解約、名義変更、払い戻し)

↓ 

○各相続人に遺産を分割する

以上、こういった流れでしょうか。

遺産分割協議は遺言書が無い場合において行いますが、遺言書がある場合にも遺言書に記載していない財産や遺言書自体の記載内容から読み取れないものに関してその部分に関して遺産分割協議をする場合があります。


相続人間の意見がまとまっていれば比較的に早く協議を終了することが出来ますが、相続人間で意見がまとまらない場合や住んでいる場所が遠い場合など終了に半年~1年以上かかる場合もあります。また、集める戸籍や書類等も膨大になるためにあまりにも時間がかかり、手続きをする相続人の方の負担は大きいものとなります。



当センターはこういった相続人の方の負担を和らげるべく、相続手続きも引き受けております。相続人の方が安心してご依頼頂けるように、各種専門家とも(税理士や司法書士など)とも提携しております。ぜひともお気軽にご相談ください。
Q2.母の相続手続きのために、戸籍収集しています。除籍や原戸籍など種類の違いを教えて下さい。


戸籍とは日本国民であるあなたの身分関係を証明するものです。

戸籍は戸籍法により戸籍の中に定める登録内容が決まっていて、主に、出生、婚姻、養子縁組、死亡などの事項を証明します。単に戸籍と言う場合は、現行の戸籍の事を指し、「現戸籍」と呼びます。

●戦争の後と戦争の前で戸籍の様相が変わりました
現在の戸籍制度が始まったのが、明治5年ごろであり明治5年式戸籍というものから始まりました。明治5年からはや140年ほど経ちますが、数度の改正を経て、脈々と受け継がれています。

戦争の前までの戸籍は、「家」を単位にして作られていました。そのために、戸主(今で言う筆頭者)を先頭として父母や祖父母、また、戸主の子さらにはそのまた子供(孫にあたる)なども記載されていまして、この当時の除籍を取得すると戸籍の中に20人以上親族が記載されていることもあるのです。

戸主から筆頭者へ
 戦争が終わると戸籍法が改正されて、「夫婦と子」の単位のみが記載されることになりました。
そのために、3世代で戸籍に記載されることはなくなりました。また、子供が結婚すると戸籍から抜けて新たに戸籍を編成することとなります。
 核家族化が進む現在において、時代を反映した戸籍となりました。


●除籍簿とは
 現在使われている戸籍も、結婚や死亡により1人、1人と抜けていきます。電子化される前であれば、このように戸籍から抜けた人の所には「×」マークが付けられます。この戸籍から抜けることを「除籍」と言います。そして、やがて戸籍内の人物が誰もいなくなり。全員が「除籍」となった場合には、「除籍簿」となり、「戸籍」とは別に保存されます。
除籍簿になり、150年経つと法律により廃棄してもいいという決まりになっています。



●原戸籍とは
法律の改正により戸籍の様式等が変更になった場合等の、新しく切り替わる前の戸籍の事です。戸籍はその時代によって、様式が変更になったりすることがあります。

前にも書きましたが、終戦前と終戦後で「家単位」から「家族単位」に変更された時も様式がだいぶ変わりました。

ただ、注意しておかないといけないのが、婚姻や死亡などにより、戸籍から抜けた人(除籍された人)などがいる場合は、新しく作り変えられた時に当然ながら除籍された人は記載されてなくなります。

そのために、現戸籍から反映されず、その事実が全く消えてしまったら困りますし、正確な相続人が確定できません。

そういったこともあり、改正前の戸籍が保存されることになり、それが「改正原戸籍」と呼ばれるものになります。

戸籍を遡ってみると、出生日が安静や天保、文久などの江戸時代の年号が出てくることもあります!
Q3.相続手続きは、遺産分割協議がまとまらない場合は、どういった遺産の分割手続きになりますか?


『遺産分割の種類』について

遺産分割を行う方法は、大きく分けて3種類あります。

①協議分割
一般的な遺産分割の方法です。
相続人どうしが話し合い、合意すればそれを協議書として、各自署名押印します。
遺産分割協議自体には、期限が無く、相続開始後に数年経って行なうことがあります。


②調停分割
相続人間で協議がまとまらない場合は、この方法て行なう事ができます。
こちらは、家庭裁判所に調停の申し立てをします。
調停官と調停委員が中立に相続人間の話し合いに参加します。
この調停は、相続人の1人もしくは何人かが他の相続人を相手がたとして申し立てをするもので、各相続人から事情を聴いたり、必要に応じて資料等を提出してもらったり、遺産について鑑定を行なうなどして、解決案を提示したり、助言をしたりしながら合意を目指し話し合いが進められます。

なお、話し合いがまとまらず調停が不正立になった場合は、自動的に審判手続きが開始されます。


③遺産分割審判
調停でも話し合いがまとまらず、調停が不正立になった場合は、審判手続きが開始されます。
同じ家庭裁判所でも、『調停』が話し合いなのどすが、『審判』は裁判官が結論を確定させます。
裁判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して、審判を決定する仕組みになっています。なお、こちらの審判は強制力があり合意できない場合も、これに従わなければなりません。

以上が遺産分割の種類となります。


遺産分割審判まで行くケースはごくわずかと言われています。
その前の、数度に渡る調停や分割協議で解決する方が圧倒的に多いいわけです。

こういった紛争は、遺産の額が多いいとか、少ないとかは関係ないと思われます。
相続人の1人が少しでも多くの遺産を相続しようとすれば、それに納得できない相続人がこれに反発する・・・、これの繰り返しなんだと思います。

直ぐに現金が欲しい相続人も中にもいるでしょう。そうした場合には、遺産の額は関係無く、紛争になる場合もあります。

やはり、こういった紛争にならない予防のためにも、普段から家族間でコミニュケーションをとる必要があります。

また、紛争の予防として『遺言』の作成も有効的とも言えます。
世界で唯一の家族なので、笑顔で明るく過ごす事が1番ですからね^ ^
Q4.相続の際に、全て相続したり、財産を放棄したりする方法があると聞きました。簡単に教えて下さい。


●相続の3つの選択

相続財産はプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も引き継ぐことになります。

相続財産がマイナスの財産が多いい場合などは相続人の意に反する借金を背負い込むことになります。

その場合のために民法は相続を受けるかどうかについて3つの選択肢を設けています。

①単純承認

相続開始後、原則何もしなければすべての財産を自動的に引き継ぐことになる制度です。
相続財産に借金等が明らかに無い場合はこちらを選択されることが多いいです。


②単純承認

相続財産が最終的にプラスになるのか分からないときに、家庭裁判所に単純承認の手続きを取ることで、後々に借金が出てきても相続財産の範囲内で支払う事になる方法です。
ただ、この手続きは相続人全員でしなければなりません。一人だけ単純承認をすることは出来ません。
ただし、相続放棄をする人がいた場合は、その人を除く相続人全員ですることは出来ます。

③相続放棄

マイナスの財産が多いい事が明らかな場合は相続放棄をするほうがベストです。
相続放棄は残された相続人を保護して借金を免れさせる民法の愛情ともいいましょうか。
相続放棄はプラスの財産、マイナスの財産すべてを放棄する方法です。
この方法は、所定の期限に裁判所の手続きをしなければなりません。この3か月は熟慮期間と言ってこの期間に放棄をするか決めてください、という民法の決まりです。


以上が主なポイントになります。

トラブル編

Q1.借金などのマイナスの財産などは、相続の際に遺産分割協議で相続させてもだいじょうぶなのでしょうか?
【質問内容 全文】 ※表題部分に載せきれなかったため

年末に父が亡くなり、今年に入ってからようやく落ち着いたこともあり、家族のみんなで父の遺産の協議を始めました。
そうして、調べていくうちに父にはプラスの遺産だけではなくて、マイナスの遺産もある事がわかりました。
協議では長男が自宅の不動産を相続する代わりにマイナスの遺産も相続することに決まりました。こういった遺産分割協議は有効でしょうか?


よくあるマイナスの遺産についてのご質問ですね。


当事者間(相続人間のみ)では有効ですが、それを債権者である銀行などには長男のみがマイナスの遺産を相続したために、長男に請求してくれとのことは言えません。

したがって、マイナスの遺産は遺産分割の対象となりません。債権者にとっては支払い能力のない相続人が万が一債務を承継するとなると、債権者である銀行にとっては一方的に不利益となります。

あくまでも、遺産分割協議は、第三者から見れば相続人間内の協議です。

そのため、マイナスの遺産は相続開始時に共同相続人に遺産分割を経ることなく法律上当然に分割され、各相続人が相続分に応じてこれを継承します。

それなので、遺産分割協議において長男がマイナスの遺産も相続するという約束をしても、債権者などには主張できません。ただし、債権者の承諾が得られれば可能です。

よって、原則は債権者にマイナスの遺産部分を相続した相続人がその事のみをもって債権者に主張できず、債権者は各相続人に対して相続分に応じた支払いを主張できる。という事です。

なお、これは遺言等で債務を引き継ぐ者を指定しても同様です。

対策

Q1.認知症の母が遺言書を作る事は可能でしょうか?
可能かどうかは具体的な状況によって判断します。
認知症のお母様が遺言を作成できるかどうかは、遺言作成時において本人の状態や具体的な判断能力をもって判断されます。

遺言を作成されるお母様が遺言書を書ける状態かどうか、またその経緯、遺言の書いてある内容を理解できるかどうかなどから判断されます。

また、成年被後見人の場合は、事理を弁識する能力が一時的に回復した場合において医師二人以上の立会いの下に作成します。そして、遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をするときにおいて事理を弁識する能力を欠く状態に無かった旨を遺言書に付記して、これに署名して押印します。

実際のところ、医師2人が成年後見人が付いている状態で、「事理弁識能力がある」と判断してくれる事は、将来的なトラブルを考えると難しいかもしれません。こういったケースは、一度ご相談なさったほうがいいかと思います。

→事理を弁識する能力とは?
自分の行為の結果を判断することができる能力です。たとえば、他人の物を盗めば警察に逮捕されるっていう結果は想像できますよね。それは4歳、5歳であれば想像することは難しいのでこういった子供に関しては判断能力が無いとされます。

手続き

Q1.自筆証書遺言ってどんな紙に書いてもいいのですか?
問題ありません。
遺言書の用紙や筆記用具に関しては特に定めがありません。
ただ、ワープロなどで全文を作成したものに関しては認められていません。
Q2.自筆証書遺言を訂正したいがどうすればよいでしょうか?
訂正には定められたやりかたが法律であります。
(民法968条2項)それは、容易に改善されないようにするためです。

●訂正の仕方
まずは、文字の加入の場合はその場所に直接記入します。また、削除して変更する場合は、二重線を引き、その付近に訂正した文言を記載します。

そして、それぞれ訂正した個所に署名して、遺言書に押した印鑑で押印します。さらに、その旨を付記します。「○項○行目「3」の文字を1字削除して、「5」の文字を1字加えて変更する。遺言太郎 ㊞」という感じです。

ただ、あまにり訂正箇所が多い場合は、遺言書自体を作り直した方がいいでしょう。
Q3.遺言執行者ってなんですか?

答 遺言執行者とは
遺言者の死亡後、遺言の内容を実現するために必要な行為を行う者の事を言います。遺言書の内容に沿って、相続財産を管理して、金融機関の名義変更や財産の各種手続きを行います。
Q4.なぜ遺言執行者が必要なんですか?

  基本的には、遺言執行者を置かなくても相続人などが財産の手続きを自分たちで行えるものもあります。
 しかし、遺言の内容に不満を抱く相続人がいる場合も少なくありません。また、相続人どうしがあまり仲が良くなく相続人全員の協力が得られそうが無い場合もあります。

そうした場合に、遺言の内容を第三者の立場から忠実に、かつ、公平に実現してくれる遺言執行者がいると争いを防止して迅速に手続きを進めることが出来ます。

→トラブルの防止と手続きの迅速性が遺言執行者にはあります。
Q5.遺言執行者の権限はどういうものがあるのですか?

実は非常に遺言執行者の権限は強いです。

遺言執行者は、遺言の執行に必要な「一切」の権利や義務を有します。
主な権限として次のようなものがあります。
・他の相続人は、相続財産の処分、その他遺言の執行を妨げる行為をしてはならない(民法1013条)
・遺言執行者がいる場合において、相続人の勝手な相続財産の処分等は無効であり、その勝手にした処分の相手方に遺言執行の一環として返還請求等を求めることが出来るとされています。※過去の裁判を分かりやすく簡略的に記載しております。

あくまでも相続人の代理人であり、被相続人の代理人ではありません。
(あくまでも遺言に記載された事を相続人の代わりに執行するというだけ)
Q6.自筆証書遺言を発見したら、「検認」というものがあると聞いたのですが検認とはなんでしょうか?


★「検認」とは・・・
遺言書の保管者や発見した相続人は、遺言者の死亡を知ったあとは速やかに家庭裁判所に検認の手続きを行わなければなりません。そして、遺言書の状態をおおやけに確認して、偽造や変造を防ぐ手続です。


遺言の内容を審査するというより、現在の状態を相続人立会いのもとに確認するという事です。


★相続人全員の立ち合いが必要なの?
裁判所からの呼び出し状により、相続人立会いの機会を与えられた以上相続人全員の立ち合いが無くても開封手続きは出来ます。
 

●この時に要注意なのは、発見者が勝手に封を開けないこと!  
家庭裁判所で相続人等が立ち会いのうえ開封しなければなりません。


●もし開けてしまったら・・・
5万円以下の過料に処せられます。しかしながら、開封の有無と遺言書の有効性については別問題のため、開封後も検認の申立てをすることは可能です。
Q7.公正証書遺言作成時に必要な書類などを教えて下さい。

★遺言書作成に必要な資料等


●遺言者の印鑑証明証(発効後3か月以内のもの)


●遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本・除籍謄本等

こちらは必要であれば当センターで取得します。お客様には負担はかけません。

●相続人以外の者に遺贈する場合には、その物の住民票
こちらも当事務所で取得することが出来ます。その方の住所とお名前、生年月日などを教えていただけると助かります。


●相続させる又は遺贈する財産が不動産の場合には、土地・建物の登記事項証明書(登記簿謄本)及び固定資産評価証明書。不動産以外の財産の場合には、それらを記載したメモや資料

こちらに関しては、お客様のご自宅に保管している場合が多いいと思います。
どうしても見当たらない!って方はお気軽にご相談ください。


●証人をお客様のほうで準備する場合には、その物の氏名、住所、生年月日、職業がわかるメモ又は資料
なお、証人になる事が出来ない者を以下に記載します。


●証人になれない人
・未成年者
・推定相続人・受遺者並びにその配偶者や直系の血族は証人になることは出来ません。


これは、例えば財産を受け継ぐ可能性がある相続人がもし証人になっていた場合は、遺言を残す方に自分の都合のいい内容にするよう影響を与える場合などが考えられるからです(現実には公証人が作成するものなので可能性は低いですが)。遺言はあくまでも、遺言を残す方の自由なご意思なので、こういった利害関係人がいることは望ましくないのです。




●当事務所の発行する委任状及び確認書
こちらは、公証役場に使用するものではないのですが、当事務所が業務をするに当たって署名と押印をいただくものです。遺言をするにつき必要な書類等を取得する場合に使用します。




●遺言執行者(遺言の内容を実行・実現してくれる人を言います)を決めておくと何かと便利ですが、その場合には執行者になる人の氏名、住所、生年月日、職業を記載したメモや資料などが必要です。
以上が遺言を作成時に必要な資料等になります。




その他、状況により必要なものが発生する恐れもありますので、何かご不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。
Q8.遺言書作成の流れを教えて下さい


①初回相談
まずは、お客様のお話を伺います。この時点で「どうして遺言を作りたいのか」などをお聞きします。

そして、遺言作成の効果やメリット、デメリットなどを説明します。弊所はお客様のお話を伺い、本当に遺言が必要か、また、遺言に係る費用及び遺言の流れ等を説明します。お客様の「気持ち」や「想い」などを汲み取ってより良いご提案をさせていただきます。分からないことがあればお気軽にご相談ください。


②契約・必要書類に印鑑及び署名など
相談時にこのままご依頼されるお客様は、委任状などの遺言書を作るに当たって戸籍などを取得するのに必要な書類に署名や印鑑をしていただきます。


③相続人調査(戸籍収集等)
ご契約いただいたら、お客様の了承を得て遺言者の相続人をお調べいたします。遺言者に他に相続人がいないかなどの確認をいたします。


④不動産調査
遺言者の財産に不動産がある場合には、固定資産納税通知書などから遺言者がもっている不動産を割り出します。また、固定資産納税通知書などを紛失している場合は不動産の管轄する市区町村や役場などに名寄せなどの請求をします。遺言書への不動産の記載は登記簿謄本通りに記載する方が確実なためにこちらも取り寄せます。


⑤遺言書の起案
ここまでの資料を集めたら、前回打ち合わせまでのお客様の要望を文章にいたします。案分が完成したら、お客様に確認していただき、変更があれば再度作り直します。
※この間に必要であれば打ち合わせ


⑥公証役場にて遺言書作成
お客様が案分を確認して、ご了承いただきましたら公証役場で遺言書作りの本番です。まず、公証人の都合がいい時に予約をして、その当日に遺言をする人と証人2人で公証役場へ行きます。


⑦遺言書の完成
完成しましたら正本と謄本が発行されますのでそちらを受け取り大切に家で保管します。また、貸金庫などに保管しておくのもいいでしょう。なお、遺言執行者を指定している場合は遺言執行者に預かってもらうのもいいでしょう。



これで遺言書は完成しました。ここまでお疲れ様でした、あなたの大事な「想い
」がつまったものですね。当センターを選んでいただき誠にありがとうございました。


当センターでは、遺言書に必要な書類等はすべてお客様に負担がかからないように取得します。



そして、お客様の気持ちを汲み取り、それを書面に残します。

そうやって一緒に作っていきましょう。

トラブル編

Q1.遺言者である父の生前に、遺言書記載の不動産がすでに売却されていた場合はどうなるのでしょうか?
その売却された不動産のみ、最後に作成された遺言書から撤回されたものとみなします。

民法(1023条2項)では、「遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する」と書かれています。すなわち、遺言した内容が遺言後に売却されていたり、その他の内容に変更する事態があった場合は、その部分のみが撤回され、それ以外の部分はそのまま有効という事になります。

あくまでも遺言は、遺言をする方の最後の意思が尊重されます。

作成された後に、遺言者の気持ちが変わって遺言書を新たに作ったり、その他の行為をすることは尊重されるべきなのです。
Q2.無理やり息子に遺言を書かされました。この場合はどうなるんでしょうか?
【質問全文】
 私には、60歳になる息子がいるのですが、先日私を脅して無理やり自分に都合がいいような遺言書を書かせられました。
 私は遺言を書きなおそうと思っているのですが、もし書き直したと息子がわかったら怖くてできません。こんな息子も相続することになってしまうのですか?


息子さんの相続権は相続欠挌者になれば相続権は失います。

このような状況では到底本人が自己の判断に基づいて遺言書を書いたとは言い難いと思います。

相続欠格とは、一定の自由があれば当然に相続権を失う事になる法律上の制度です。(民法891条3.4.5項)

この制度の趣旨は、相続人の地位を占めるべき者であっても、一定の重大な事由が存在して、この者に相続させることが法律全体の趣旨から見て妥当ではない場合に、「相続人の意思を問うことなく法律上当然に」相続人の資格を失う事とすることで、相続人の一定の重大な非行に対する制裁をする趣旨です。


例として、
・詐欺や脅迫によって、被相続人の遺言の作成・撤回・取り消し・変更を妨げた者(3項)
・詐欺や脅迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、またはその撤回・取り消し・変更をさせた者(4項)
・相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者(5項)



これらの場合に当てはまるときは相続欠格者となり相続人の地位を失う可能性があります。

息子さんのそのような行為が事実なら相続をすることはもちろんできませんが、受遺者となることも出来ません。
なにかあれば悩まずご相談ください。
Q3.遺言書で遺留分が侵害されていた場合は、その遺言は無効となるのでしょうか?

→そもそも遺留分とは、相続の場合において、被相続人(亡くなった方)の財産を一定の割合で何らかの方法で相続人に保障する制度を言います。

例えば、遺言などで、遺言をする方が妻子がいるのにもかかわらず仲が良かった友達に財産を全部あげるとします。

ただ、残された相続人(この場合は妻子)は、夫の財産を当てにするのが普通だと思います。
その場合において、こういった最低限の保障が法律で定められていないと残された家族の生活が安定しないと思います。
ですが、被相続人も財産の処分をする自由はもっているわけです。そのためにその両方の調整という事で通常の法律で定められた相続分よりも少ない割合が遺留分として定められています。

そして、このようなケースでは、遺留分を侵害していたとしても、その請求がされなければ遺留分の効果は発生しません。

なお、遺留分の請求は期限がありますのでご注意ください!

●遺留分請求期間
遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間
または、相続開始の時から10年(相続があったことを知らなくても)
Q4.遺留分の減殺請求をされたが、どうすればいいでしょうか?
質問 
私は父の生前から、父の家に住んでいたがこのたび父が亡くなり、遺言書が発見されそれに従い父の唯一の資産であるこの家を相続しようと思っていました。しかし、あまり連絡を取らなかった妹から連絡があり「遺留分」の事を言われました。
この場合は、遺留分の割合に応じて妹に名義変更しなければならないのかでしょうか?


名義変更をしない方法もあります。

遺留分減殺の意思表示がなされれば法律上当然に減殺の効力を生じ、遺言等で記載された遺贈又は贈与は、その遺留分の割合に応じて効力を失うとされています。

そして、その失った権利はその割合に応じて、遺留分の減殺請求をした人に何もしなくても権利が生じるとされています。

したがって、その結果、遺言により財産を得た人は、その不動産の一部を妹に返還(名義変更)しなければなりません。(現物返還の原則)

しかしながら、ずっと住んでいた家を渡すのはお兄さんとしても耐え難いと思います。

そのために民法では、遺言で財産を得た人は、その家の価格を遺留分を請求してきた人に弁償さえすればいいという規定を作りました。(民法1041条)これによりお兄さんは価格を弁償さえすれば家に住むことが出来るという事です。


ワンポイントアドバイス!
★もしこの場合遺言書を作成していなければ・・・

遺言書を作成していなければ、遺留分という考え方ではなく遺産分割協議により「法定相続分」による話し合いが行われた可能性が高いと思います。

そうした場合は遺留分より各自が取得する割合が大きいので、価格の弁償をするにしてもかなりの高額になる場合があり、財産が預貯金が無く、不動産だけの場合は家をも売却して支払いをする必要が出てくるかもしれません。

そのために、しっかりとした遺言書を作成する必要がありますね。