2013年12月23日
非嫡出子の相続分の規定(民法900条4号但書)の違憲判決について
ちまたで言われている、この違憲判決ですが皆様はご存知でしょうか?
非嫡出子の相続割合は、嫡出子の相続割合よりも半分少ないというものです。
非嫡出子とは?
法律の婚姻関係のない男女の間に生まれた子供の事を言います。
上記の非嫡出子に対して、従来の民法では婚姻関係にある男女の子供を一定程度優先する規定が、民法900条4号但書でした。
今回の、平成25年9月5日の最高裁大法廷の決定により、嫡出子と非嫡出子は、相続割合が同じとなりました。
最高裁の趣旨として
【家督制度が廃止されて】
昭和22年の民法の一部改正において、「家督制度」が廃止され、,配偶者及び子が相続人となることを基本とする現在の相続制度が導入されましたが,家族の死亡によって開始する遺産相続に関し嫡出でない子の法定相続分を嫡出子のそれの2分の1とする規定(昭和22年民法改正前の民法1004条ただし書)は,本件規定として現行民法にも引き継がれました。
【時代流れにより】
しかし,法律婚主義(民法に事実婚に対しての規定がない事から)の下においても,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分をどのように定めるかということについては,様々な事柄を総合的に考慮して決め、また,これらの「事柄は時代と共に変遷するもの」でもあり、その定めの合理性については,個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして検討され,吟味される事だそうです。
【他の諸外国に関して】
昭和22年民法制定当時は、少なくとも上記のような差別的な意識が国民の間でもあった事は事実であり、欧州諸国などの諸外国でも、こういった立法例も多く存在していました。
しかしながら、社会や経済状況の変化により、徐々に諸外国でも差別的な立法は改正しだし、現在においては欧米諸国ではこのような立法は見られなくなりました。
【我が国の現状】
我が国においても、晩婚化、非婚化や少子化が進み、婚姻,家族の在り方に対する国民の意識の多様化が大きく進んでいることが指摘されています。
【子の『個としての権利』】
父母が婚姻関係になかったという,子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄(子供は親を選ぶ余地が無いと言う意味)を理由として、その子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきていることも原因とされています。
ここまで長くはなりましたが、以上が裁判所が下した判決の大まかな趣旨ではないかなといえます。(一部最高裁判旨抜粋)
私個人としては、最後の「子は親を選べない」というところが、一番の主要な部分ではないかなと思っています。
親の事情で、子供が不利益を受けるのは何とも可哀そうな事だと思います。
次回も、この話題を取り上げたいと思っております。
もう、あと8日で大晦日ですね。
大掃除の準備をしなければなりませんね!
皆様が笑顔でいられますように・・・
ワンポイント
質問 嫡出推定制度とは,何ですか。
答
子供の福祉のためには,法律上の父子関係を早期に確定し,(母親は分娩の事実により、母子関係は当然に生じるとされています)
子供の身分関係を安定させることが重要です。そういったことから民法は,女性の懐胎期間を考慮して,婚姻期間と出生時期の関係から子供の父を推定した上で,そのような推定が及んでいる子供については,父であることを否定する方法を限定し(注),この方法によって父子関係が否定されない限り,血縁関係があるか否かを問うことなく,法律上は父子関係にあるものとして扱うこととしています。これが,嫡出推定制度です。(法務省HPから引用)