2014年12月02日
いろいろな離婚について①
こんにちは。
スマイル相続センターです。
いよいよ師走に入り、あわただしい時期に入ってまいりました。今年も残すところあと少しですが、頑張ってまいりたいと思います。
さて、今日は「離婚」についてお話したいと思います。
婚姻時には、お互い離婚をすることなど全く考えないと思いますが、夫婦生活を営んでいくうちに、彼氏彼女時代とは違う面が見えて、気持ちが覚めることや、家事や子育てに積極的ではない、はてには浮気やDVなどの原因により、離婚に至るということが多々あると思います。
離婚の件数については、人口動態統計の平成25年度推計によりますと、23万1000件です。最も離婚が多かった平成14年度には、28万9836件ですから、その時よりは減少しているものの、婚姻件数については、平成25年度の婚姻件数は66万3000件ですので、婚姻時期等を計算しない単純な比較であれば、近年では婚姻しても3分の1以上の方が離婚されていることになります。
このような統計からすると、離婚は珍しいことではなく、普通に考えられることであるといえます。
では、離婚をするにはどのような手続きをとればよいのでしょうか。
まず離婚の種類には、①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚、④裁判離婚、⑤請求認諾離婚、⑥訴訟上の和解による離婚があります。
最も多い離婚件数の約9割を占めるのは①協議離婚です。この協議離婚は、当事者が離婚届に必要事項を記載し、役所に届け出ることで離婚が成立するため、一番簡便な手続きです。親権や財産分与などに関して、当事者の合意で決めることができ、また、当事者間での話し合いなので、プライバシー保護が図れるというメリットがあります。しかし、あくまで対等な関係で合意を決めることができる場合には、有効な手段ですが、DVを受けていたり、普段から威圧的な言動を受けていたりして恐怖感を感じている場合には、親権や財産分与などの問題に関して納得のいく解決ができないのではないかという問題点もあります。
そこで、協議離婚によることが難しいと考えられる場合には、②調停離婚の手続きを行います。離婚を考えている場合には、いきなり裁判所に訴えを提起するということはできず、この離婚調停を先に行います。これを、調停前置主義と言います。
離婚調停は、家庭裁判所に調停を申し立てることから始まります。その後、家庭裁判所の調査官の事実調査や、調停委員(離婚調停の場合、男女1人ずつ、民間人の有識者から幅広く選任されます)からの意見聴取などが行われ、当事者間での離婚の合意を図ります。離婚の合意が成立した場合には、これを調書に記載して、離婚が成立します(家事審判法21条1項)。
そして、離婚調停が不成立の場合には、更に③審判離婚、④裁判離婚の手続きに移行することが考えられます。
まず、審判離婚についてみてみましょう。家事審判法24条1項本文は、「家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。」と定めます。
この条文から読み取れるように、家事審判は、当事者からの申立てではなく、家庭裁判所が審判を行うかどうかの決定を行います。家事審判では、離婚の合意があるが、財産分与や親権で争いがある場合や、感情的対立があって合意がまとまらない場合など、これまで行った調停を活かして解決を図るところに特徴があります。
もっとも、審判離婚については、当事者が審判から2週間以内に異議を申し立てれば、審判は効力を失います(家事審判法25条1項、2項)。さらに、審判に移行すべきかどうか家庭裁判所が判断することは難しく、審判離婚自体の件数も年100件あるかどうかで、年度によっては、離婚件数全体の0.1%程度を占めるというものに過ぎません。したがって、審判離婚となることは非常にまれといえます。
では、④裁判離婚や、残りの離婚形式はどのようなものでしょうか。この点についてお話すると長くなるので、次回以降のコラムでお話したいと思います。
皆様が笑顔でいられますように。
代表 長岡
ワンポイント
※参考文献・資料
二宮周平『家族法 第3版』(新世社)
厚生労働省「平成24年(2012)人口動態統計の年間推計」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei12/
厚生労働省「平成 25年(2013) 人口動態統計の年間推計」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei13/dl/honbun.pdf